こんにちは、いとまさです^^
僕は2021年6月に自衛隊を退職して、今は無職生活を送っています。
たまに、
「自衛隊を辞める時に引き止めとかあった?」
と聞かれますが、もちろん僕が自衛隊を辞める時も引き止めはありました。
しかし、僕はその引き止めにも上手に対処することができ、有給やボーナスなどの色々な面でも、上手に退職することができました。
今この記事を読んでくれているあなたも、
自衛隊を退職したいんだけど、引き止めにあって辞められない。
コレって法律的どうなの?違法じゃないの!?
自衛隊を止めようと考えてるんだけど、やっぱり引き止めってあるの??
と、自衛隊を退職する時の引き止めについて悩みがあるんじゃないでしょうか?
この記事では、約半年前に自衛隊を辞めた僕の経験をもとに、自衛隊を退職する時の引き止めを上手に対処する方法をまとめました。
結果から言うと、
あなたの「退職する!」という選択を、引き止めによって阻止することはできません。
このことについて、引き止めは違法なのか?、引き止める理由は何なのか?といった点も含めて解説したので、ぜひ最後まで読んでください^^
・自衛隊を退職する時の引き止めは違法か?
・引き止めの理由は?
・引き止めを上手に対処する方法
引き止め自体は違法ではないが、過度な場合や退職を認めないのは違法
まず僕は、自衛隊を辞める時の引き止めについて、
”引き止めること自体は違法ではないが、過度な引き止めや、任命権者が退職を認めないことは違法”
だと、認識しています。
通常の引き止め
退職の理由や意思、退職後の計画が不明確な隊員に行う、意志の確認や正当な理由による説得。
過度な引き止め
退職の理由や意思、退職後の計画が明確であるのに、それを不当な理由で却下。
任命権者が退職を認めない。
そもそも、自衛隊の退職の申し出は、有事でない限り承認されるものとされており、平時で退職を認めないのは違法です。
(自衛隊法第40条)
(退職の承認)
第四十条
第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
出典:自衛隊法第四十条
この”自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるとき”が、有事(戦争など)のことです。
ちなみに、この40条の冒頭に出てくる31条で、”任命権者は誰か”を定めています。
(任命権者等)
第三十一条
隊員の任用、休職、復職、退職、免職、補職及び懲戒処分(次項において「任用等」という。)は、幹部隊員にあつては防衛大臣が、幹部隊員以外の隊員にあつては防衛大臣又はその委任を受けた者(防衛装備庁の職員である隊員(自衛官を除く。)にあつては、防衛装備庁長官又はその委任を受けた者)が行う。
出典:自衛隊法第三十一条
・曹士 = 地方総監(海)/ 師・旅団長(陸)
・幹部 = 幕僚長 → 防衛大臣
法令はややこしいけど、まとめると上のとおりです。
この自衛隊法に基づき、退職届を受け取った上司はそれを受理し、任命権者にまで上げなければいけません。
不当な理由で(もしくは理由もなく)、退職を認めないのは違法です。
しかし同時に、隊員の身上把握をすることも上司の仕事です。
退職届を受け取った上司からしたら、あなたの辞める本当の理由は分かりません。
(口ではなんとでも言えますからね。)
辞めようとしている理由は、一時の気の迷いかも知れませんし、もしかしたら部隊の中でいじめがあるからかもしれません。
上司は仕事として、隊員の退職理由が本当であるのかを明確にする必要があります。
また、この他にも、退職後の進路や金銭計画など、部下について多くのことを把握しておかなければなりません。
その過程で未確定要素・不安要素があれば、退職の意志や理由を再確認したり、転勤などの代替案で自衛隊に引き止めようとするのは自然なことだと思います。
このような考えから、
“引き止め自体は違法ではなく、意志の確認・身上把握の延長”
だと考えます。
僕自身、退職届を出してから1ヶ月程度、この引き止め(意志の確認・身上把握)がありました。
その時には、
- 退職理由
- 家族の同意の有無
- 金銭状況
- 退職後の計画(収入や進路)
- 代替案(転勤、職種変更)
などについて、質問・提案されました。
最初、このような質問や提案を受けて、自分自身しっかりと考えれていないと感じるところもあり、何度か計画を見直す必要がありました。
しかし、コレを繰り返すうちに、最終的には聞かれること全てに対し、自分の意志や計画、考えを根拠に基づいてしっかりと答えられるようになります。
このように、退職の意志や目的、退職後の計画を明確に示すことできてからは、引き止めはなくなり、退職の手続きに入りました。
今振り返ると、あの引き止めは、
「コイツを外の世界に出しても大丈夫だろうか?」
「コイツの退職をする目的や計画はあやふやなものではないか?」
という、確認だったと思います。
また、この引き止めの質問により、僕自身、自分の目的や計画を客観的に確認ができました。
このような自分の経験からも、多少の引き止め(意志の確認・身上把握)は違法ではなく、むしろ必要だとも感じます。
しかし、退職の理由や意思、退職後の計画を明確に示しているにも関わらず、理由もなく引き止められるのは違法で、僕も大反対です。
ただ、人によって明確の基準も違うでしょうし、難しいところではあると思います。
引き止める理由は自衛隊という組織のため
今振り返ってみると、僕の受けた引き止めは、僕自身のためにも必要なことでした。
しかし中には、この引き止めが過剰で、退職の理由や今後の展望を説明しても、頭ごなしに否定されて退職を受け付けてもらえないという人もいると思います。
しかし、そもそもなぜ、上司はあなたの退職を認めずに、自衛隊に引き止めようとするのでしょうか?
その理由を知り、それを解決することが、引き止めを上手に対処する方法に繋がります。
結論から言うと、上司があなたを引き止める理由は、
”自衛隊(上司自身を含む)という組織を守るため”
です。
あなたが自衛隊を辞めても、元自衛隊という肩書きは一生外れることはありません。
元自衛官が犯罪を犯すと、その時点で全く関係がなくても、世間の自衛隊に対するイメージは悪くなります。
そのため、退職する自衛官が金銭的・精神的問題を抱えていないか(犯罪を犯す可能性は無いか)、今後の計画はしっかりを立てられているのかを、確認する必要があるんです。
また、1人の隊員を退職手させるために、あなたの上司はもちろんですが、総務や経理、人事といった各部署の隊員が、多くの仕事をしなければいけません。
この仕事により、単純に一人ひとりの仕事量も増えますし、本来の隊としての業務も滞る可能性があります。
この他にも、隊員の依願退職には、
・ただでさえ人手不足である組織が、さらに人手不足になる。
・部隊の評価や士気が低下する。
といった、自衛隊という組織に対するデメリットがいくつもあります。
引き止めを行う上司は、あなたが退職することによって起こりうるデメリットから、自衛隊を守りたいのです。
(上司自身を含む)
これが引き止めの理由です。
最終的な退職の支配権は、あなたにある
上司は自衛隊(自分を含む)を、上記したようなデメリットから守りたいと思っています。
そのため、あなたを引き止め、簡単には退職は認めてくれません。
しかし、最終的な退職の支配権は、あなたにあります。
極端な話、上司が退職の意思を上げてくれなくても、あなたが任命権者に直談判すれば、任命権者はあなたの退職を認めざるをえません。
(退職の承認)
第四十条
第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。
出典:自衛隊法第四十条
直談判が非現実だと思う場合には、部内外の相談窓口を通じて、自分の意思を任命権者まで上げてもらうという方法もあります。
▷防衛省・自衛隊 メンタルヘルス相談先(部内)
▷自衛隊援護協会(部外)
他にも、辞めさせてもらえないのなら、欠勤などして、あえて仕事をせずに部隊のお荷物になるという方法もあります。
部隊にいても役に立たない(むしろ邪魔な)存在であれば、自衛隊もあなたを手放してくれるでしょう。
(正当な退職の理由があることは前提ですよ)
この時、指導を受けるようであれば、なぜこのような行為に至ったかを説明し、自分の退職に対する確固たる意思を示すこともできます。
指導で暴力を振るわれることはないと思いますが、仮に暴力を振るわれたら、それこそ辞めるための大きなチャンスになりますね!
今は、世間一般でも、防衛省でもパワハラに対しては、非常に厳しい態度をとってます。
また、最終手段として、退職代行サービスを利用するという手段もあります。
▷退職110番(弁護士対応の退職代行サービス)
「自衛隊は退職代行を使えない」という噂を聞いたので、直接問い合わせましたが、普通に使えました。
自衛隊であっても、退職代行サービスは使えます。
ただ、法律の関係上、自衛官が利用するには、弁護士が対応してくれる退職代行しか対応できないようです。
なので、値段は少し高い(4〜5万円)ですが、弁護士対応のものを使ってください。
▷退職110番(弁護士対応の退職代行サービス)
自衛官の方っていうの公務員で、今申し上げた通り交渉が必要になります。ですから一般の民間の退職代行業者は対応出来ません。もちろん労働組合なんか出来ないわけですから労働組合型の退職代行業者も取り扱えない。弁護士のみという事になります。その点はご注意下さい。
出典:【自衛隊の退職】フォーゲル綜合法律事務所
弁護士法の72条で「非弁行為の禁止」という項目があり、弁護士でないものが有償で法律に関わる仲裁和解交渉に関わると、違法になるからです。
出典:【転職代行サービス利用のリスクと違法性】AntennaAsia
自衛官が退職代行を使うことについてまとめた記事もあるので、参考にしてください。
とまぁ、このように、退職を認めてもらうための手段は多々あります。
なので、最終的な退職の支配権はあなたにあり、どんなに引き止められたとしても、絶対に辞めることができます。
だから安心してね。
上手に引き止めに対処するために、引き止めにより発生するデメリットを理解してもらう
上記のとおり、最終的な退職の支配権はあなたにあります。
しかし、引き止められたからといって、いきなり相談窓口に電話したり、退職代行サービスを利用しては、お互いにとって良くない結果になりかねません。
上手に引き止めに対処して、退職を認めてもらうには、
”退職を認めるよりも、引き止める方がデメリットがある”
ということを理解してもらうのが重要です。
まず、自衛隊(上司)として、隊員の退職に多くのデメリットがあるのは「引き止める理由は自衛隊という組織のため」で書いたとおりです。
そして、このデメリットから自衛隊(自分)を守るために、あなたを引き止めます。
しかし、この引き止めによって、あなたが退職すること以上のデメリットが発生するのであれば、引き止めることはせず、退職を認めるでしょう。
この引き止めによって発生する、退職以上のデメリットとは、具体的に
- パワハラなどで訴えられる可能性
- 脱柵や欠勤による、後ろ向きな業務の増加/部隊の指揮低下
- 相談窓口への相談による、部隊としての評価低下
- 退職代行サービスの利用による、自衛隊のイメージ低下
- 隊員や家族の死亡(自殺)
と、いったものです。
引き止めには、このような危険性があるため、あなたが
過度な引き止めや、不当な退職の不承認は続くのであれば、上に挙げたような行為も辞さない!
という姿勢を示すことができれば、上司は引き止めによるこれらのデメリットを考え、過度な引き止めはできなくなります。
また、退職の理由や退職後の金銭計画を整理し、退職後にあなたが自衛隊に迷惑をかける危険性が無いと分かれば、退職も認めやすくなります。
このように、しっかりとした理由・計画を持ち、かつ、退職のためにどんな行為も辞さないという態度を示すことで、上手に引き止めに対処することができます。
あとは、介護や実家の事業を継ぐといった、自衛隊としてどうしようもできない理由があると、この理由を盾に上手に引き止めに対処することもできます。
まとめ
・引き止め自体は違法ではないが、過度な場合や、任命権者が退職を認めないのは違法。
・引き止めるの理由は、あなたが退職するというデメリットから自衛隊を守るため。
・退職の支配権はあなたにある。(絶対辞められる!)
・上手に引き止めに対処するために、退職を認めるよりも、引き止める方がデメリットがあることを理解してもらう。
自衛隊を辞めるうえで、多少なりとも引き止めはあると思います。
しかし、退職の支配権はあなたにあり、退職のためにどんな行為も辞さないという態度を示すことで、絶対に辞めることができます。
だから、諦めないでくださいね。
今回の記事でまとめた知識や考えが、少しでもあなたの参考になれば嬉しいです^^
「どうしても辞めれない・・」って時は、最終手段を使ってくださいね。
▷退職110番(弁護士が対応してくれる退職代行)