こんにちは、いとまさです^^
僕は2021年6月まで、海上自衛隊のパイロットとして勤務していました。
当時は、お給料+飛行手当を貰っていたので、
「高い給料貰ってるな〜」
と思ってましたが、今振り返ってみると、あの給料の額でも安かったなと感じます。
この記事を読んでくれているあなたも自衛官で、
色んな制限もあるし、残業代も無いし、訓練もきついし・・、仕事内容を考えると自衛隊の給料って安くない?
どうなん、これ?
と、「自衛隊の給料は安い」と感じているのではないでしょうか?
結論から言うと、
自衛隊の給料は安いです。安すぎです。
今回は、客観的なデータや元自衛官としての経験をもとに、自衛隊の給料について考えてみました。
あくまで、僕個人の意見ではありますが、自衛隊の給料が安いかどうかを考える上で、少しは参考になる考えだと思います。
ぜひ、最後まで読んで下さい^^
・自衛隊の給料は安いのか?
単純な金額で見ると、自衛隊の給料は高い
単純に金額だけで見ると、自衛隊の給料は高いと言えます。
このことについて、
”一般的な平均年収”
”自衛隊の福利厚生”
”自衛隊のカンタンな仕事”
という3つの面に注目して、解説していきます。
自衛隊の年収は、一般的な平均年収より高い
自衛隊の給料はざっくり、階級と号俸によって定められてる基本給と、職種に応じた手当によって決まります。
給料の表は一部抜粋です。コチラのサイト(給料.com)で全て確認できます。
また、手当については規則で定められてます。
※1乗組手当は、海上自衛官の海上勤務の特殊性を考慮したもので、護衛艦の乗組みになると、俸給月額の33%、潜水艦の乗組みになると俸給月額の45.5%が加算されます。
※2 航空手当は、随時飛行業務を行うという勤務の特殊性から支給されているものであり、航空機搭乗員としての勤務になると、該当する階級における最低の号俸の60%が加算されます。
出典:海上自衛隊HP
たとえば・・
3等(海)尉 21号俸 パイロットだと(ちなみに26歳)
基本給 277,200円
航空手当 148,680円
合計 425,880円
・・どうでしょうか?「結構もろてんなぁ〜」と、感じた人が多いのではないでしょうか?
これは一例であり、家族や勤務地に対応した手当もあるので、同じ階級や職種、勤務歴であっても、その金額は個人によって大きく変わります。
ただ、このような個人差はあるものの、自衛隊の年収の平均は、全国平均年収よりも高いです。(自衛隊地方協力本部調べ)
出典:自衛隊帯地方協力本部
僕は飛行手当てを貰ってたので当たり前ですが、地元の同年代の友人で、同じくらい給料を貰ってる人はいませんでした。
これが、「自衛隊の給料が高い」と言える理由の1つ目です。
数値という客観的なデータが、自衛隊の給料の高さを示していますね。
福利厚生が充実しており、使うお金が少ない
収入の面で見た時、自衛隊の平均年収は、全国の平均を上回っています。
しかし、それだけでなく、自衛隊は福利厚生も充実しているため、支出の面でも、使うお金が少なくてすみます。
これにより、本来であったら支払いでなくなるはずのお金が手元に残るので、
「少ない支出で抑えられたお金」=「+αの給料」
と、考えることもできます。
具体例としては、隊内居住者の家賃や電気代、水道代、ガス代、食費、といった生活に必要なお金です。
自衛隊を辞め、一人暮らし始めてから感じましたが、家賃や光熱費、食費といった生活のために必要なお金は、想像以上に大きいです。
その他にも、自衛隊では仕事のために必要な道具や被覆も貸与されるため、自分でお金を払い用意する必要はありません。
このような理由により、自衛隊員は生活(仕事)のために使うお金が少なくてすみます。
繰り返しになりますが、この少ない出費をそのまま、+αの給料と考えると、自衛隊の給料は額面以上となります。
年収に対して、仕事がカンタン
一般的に、年収の高い仕事には、専門的なスキルや知識、高い能力が求められます。
(医師や弁護士、やり手のセールスマンなど)
一方で、年収の低い仕事は、基本的には誰にでもできるようなカンタンな仕事で、特別なスキルなどは必要としません。
これは世間一般の常識ですが、例外もあります。
その例外こそが、自衛隊です。
自衛隊の仕事は、一部の職種を除けば、ある程度の教育を受けることで誰にでもできるような、カンタンな仕事がほとんどです。
また、ノルマもありません。
しかし、そんなカンタンな仕事にも関わらず、上記のとおり、自衛隊の給料は平均以上です。
そのため、その仕事内容と給料を比較して考えると、その額は高いと言えます。
ここでは、専門的な知識やスキルを必要としないという点で、”カンタンな仕事”としています。
カンタンな仕事ではありますが、後述する規則等により、決して”ラクな仕事”ではありません。
以上のように、自衛隊は、専門的な知識を必要としない、誰でもできるカンタンな仕事でありながら、年収は一般平均を上回ります。
さらに、福利厚生も充実しているため、手元に残る純粋な金額においては、平均的な収入の人との差は、もっと大きいです。
このように、単純な金額だけでいうと、やはり自衛隊の給料は高いです。
しかし!!
この給料を手にするために、自衛官がどれほどのものを背負ってるか(犠牲にしているか)を考えると、この認識は変わります。
危険や厳しい規則、長時間労働を考慮すると、自衛隊の給料は安い!
自衛隊で働く上で覚悟しなければならないのが、主に、
”危険”
”厳しい規則や制限”
”長時間労働”
の3つです。
つまり、先に解説した高い給料を得るために、自由や安全、プライベートの時間を犠牲にしていると言えます。
これらを犠牲にしていると考えると、先ほど解説した高い給料は決して高くなく、むしろ安いです。
このことについて、解説していきます。
給料や手当も、安全の対価としては安い
まず、職種により程度の差はあれど、自衛隊で働くこと自体、他の一般企業で働くよりも危険なことです。
自衛官は全員、有事(≒戦争時)には、危険を省みず任務を遂行しなければなりません。
有事となったら(戦争が起きたら)退職しようと考えていても、これは自衛隊法で認められない場合があります。
(平時ですら、なかなか認められないのに、有事で認められることは、ほとんどないでしょう。)
また、戦争以外にも、災害派遣なども危険が伴う職務です。
そして、このような危険な現場を想定して行われるため、その訓練も過酷で危険なものとなります。
自衛官は、このように危険を背負い(安全を犠牲にして)、平均以上の給料を貰っていますが、その額は安全の対価としては安いです。
自衛隊も安全を第一として訓練、任務を実施しており、正直、普段から”死”を意識している隊員は少ないです。
しかし、自衛隊における、”死”の危険性の高さを認識すれば、その対価としての給料に対しても、「安い!」と感じると思います。
正直、僕もあまり考えたことはなかったですが、身近な先輩や同期の事故死を経験して、給料を”死の危険性の対価”として考えるようになりました。
ちょうどこの記事を書いている時に、青森県沖(以前任務をしていたとこ)に北朝鮮のミサイルが落下しました。
長く平和が続いて忘れがちですが、自衛隊は軍隊で、そこで働くことの危険性は、他の仕事より圧倒的に大きいです。
厳しい規則や制限により、給料の代償に自由を失っている
自衛隊で働く上で、安全だけでなく、自由も犠牲になっています。
自衛隊には、厳しい規則や制限が多いです。
小さなところでは、ヒゲや頭髪の手入れに関する些細なものから、大きいところでは、居住場所の指定など、強く生活に影響を与えるものまであります。
挙げていくとキリがないほど多く、それにより自由やチャンスが失われています。
個人的には、このような個人での稼ぐ力が重要視されている時代に、副業が許されないことも、自由やチャンスの損失の1つであると考えてます。
自衛官であれば誰でも自由を犠牲にしていますが、特に隊内居住者では、それが顕著です。
部隊によるところもありますが、門限や消灯時間、飲酒・外出の制限など、厳しい規則により、より多くの自由を犠牲としています。
一般人が当たり前に持っている自由は、隊内居住者にはありません。泣
このように、給料の代償として犠牲となっている自由について考えると、自衛隊の給料は安いです。
労働時間が長く、時給換算だと安い(時給換算したくない。)
最後に、長時間労働に注目して解説します。
通常、自衛隊の勤務時間は8〜17時(うち1時間は休憩)で、さらに、土日祝は休みとされています。
そのため、「自衛隊は休みが多い」というのが一般的な認識です。
しかし、これは理想の姿であって、部隊や職種によっては、残業・休日出勤は当たり前です。
合わせて、ほぼのすべての隊員は、定期的に、当直や残留(基地内待機)という形で、休みに仕事をする必要があります。
僕のいた部隊では、朝4時半に出勤して任務を行い、そのまま次の日の訓練のために、夜8時くらいまで残るということもよくありました。
そして、自衛隊の給料は残業を(時間外の勤務)を見越して設定されているので、どんなに残業しても、給料は増えません。
また、休日に出勤することで付与される代休も、有効期限は1年で、転勤の際にリセットされるので、基本的に使い切れません。
このように、時間外の勤務を含めると労働時間は非常に長く、その時間をもって時給換算すると、自衛隊の給料は非常に安いです。
金額で見ると、「高い」と感じる自衛隊の給料ですが、単純に判断することはできません。
自衛隊で働くことで、
”危険”
”厳しい規則や制限”
”長時間労働”
を背負い、自由や安全、時間を犠牲にしていることを考えると、「自衛隊の給料は安すぎる!」と、僕は思います。
お金以外に魅力を感じなければ、自衛隊は国営ブラック企業
ここまで書いてきたように、自衛隊の仕事は危険で、規則や制限も厳しく、また、労働時間も長いです。
なので、給料と、給料のために犠牲にしているものだけで考えたら、その給料は非常に安く、
ぶっちゃけ、自衛隊はブラック企業です。言っちゃった(^^)
自衛隊をただの仕事、お金を稼ぐ手段として考えているなら、全く割に合わない手段です。
給料が安いだけでなく、生産性もないですし、頑張りも報われにくく、これといったスキルも身につきません。
もっと生産的で、もっと自分を成長させることができ、もっと良い待遇の仕事(お金を稼ぐ手段)は、多くあります。
しかし一方で、やりがいや誇り、安定、絆など、自衛隊にしかない良さ(メリット)があるのも事実です。
このような点に魅力を感じている人たちは、自衛隊が好きで、強いやりがいを持って仕事に励んでいます。
そして、その給料にも満足しています。
このような人たちは、お金以外のもっと大切なものを、自衛隊に見出しているのだと感じます。
なので、最終的には、自衛隊の給料が(自分にとって)高いか安いかは、自衛隊にお金以外の魅力を感じるかどうかによると思います。
自衛隊にお金以外の点に魅力を感じないならば、自衛隊はブラック企業です。
このように感じる人は、少し外の世界に目を向けてもいいかもしれません。
ちなみに、僕の周りで自衛隊を辞めた人(自分を含め)は、ほとんど後悔をしてないというのも、1つの参考に。
まとめ
・単純な金額で見ると、自衛隊の給料は高い。
・危険や厳しい規則、長時間労働を考慮すると、自衛隊の給料は安い。(安すぎる)
・自衛隊の給料が(自分にとって)高いか安いかは、自衛隊にお金以外の魅力を感じるかどうかによる。
・お金以外に魅力を感じなければ、自衛隊はブラック企業。
今回の記事を一言にまとめると、
「自衛隊にお金以外の魅力を感じなければ、自衛隊の給料は安く、ブラック企業並み」
です。
お金は大事なものですが、お金より大事なものも多くあります。
もし、自衛隊でそれらが見つからないなら、むしろ、失っているというなら、転職や退職も1つの手段としてアリだと思います^^
めちゃ参考になる記事でした!
あまりまとめられてる記事を読んだこと無いというのもありますが、経験と根拠を基に書かれていて、非常に納得しました☺️
>おみさん
コメントありがとうございます^^
そう言ってもらえて嬉しいです!!これからも経験と根拠をもとに、しっかりと納得のいく記事を書いていきます( ̄^ ̄)ゞ
今年、2回目の航空学生を受験する者です。航空学生を目指すにあたり、二次試験があります。私は中学2年の頃歯の神経を抜いているのですが、これではパイロットを目指すにあたり、不合格となりますか?
防衛省の航空身体検査基準を見ても、虫歯は良くないとしか書かれていないので、そこを詳しく知りたいです!
>はるひとくん
コメントありがとうございます^^
そして、返信が遅くなってしまい、すみません..
では、質問に答えますね!
結論から言うと、申し訳ないですが、歯によって合否が左右されるかどうかは、僕には分かりません。
地本の人に伝えて「衛生隊」に確認してもらうと分かると思います^^
ただ、僕個人の意見としては、「歯の神経が無い」だけで不合格になることは無いと思います。
あくまで僕個人の意見ですが😅
引き続き、試験に向けて勉強頑張ってくださいね^^